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身元引受人と連帯保証人

昨年末、親戚に不幸があり、そのお通夜の席での出来事。
退院してきたばかりの叔父もお通夜に列席しており、入院中の様子を話していたときの話である。

叔母いわく、
「身元引受人には自分がなれたんだけど、『身元引受人のほかに連帯保証人を1人立ててください』と言われて、こまっちゃったわよ。同居の家族は駄目だっていうし、別居の息子は入院中だったのに、入院中の息子に連帯保証人を頼む羽目になったのよ。病院の規則ってきびしいわねえ」というのだ。

叔母には、「最近、入院費を払わないまま、退院してしまう人も増えているから、病院側も仕方がないんだと思いますよ」と答えたが、その話をしていて「子どものいない人の老後って、入院する時、どうするんだろう?」と考え込んでしまった。

過去、相談者にこんなことを言われたことがある。
「私の両親は他界しているし、兄弟姉妹もいないから、現在は天涯孤独の身なの。そんな身の上では、入院もおちおちできないのよ。以前、救急車で運ばれたとき、身元引受人のことでもめたことがあって、それでも緊急の入院だから、引き受けてくれたんだけど、計画的な入院をする場合、誰に身元引受人を頼んだらいいのか、途方にくれているところなの。こういうことに備えるため、養子縁組って、できないかしら」
趣旨をまとめると、こんな感じである。

身元引受人でさえ困っているこの女性にとって、連帯保証人まで求められたら・・・
病院の置かれている状況もわかるし、この女性の事情も十分に理解できる。

・・・といっても、これから先、子どものいないご夫婦は、ますます増えていくはず。
お金の準備はできていても、身元引受人や連帯保証人を誰に頼むかなど、夫婦間で話し合っているケースはそれほど多くないだろう。

また、子どもがいたとしても、転勤で遠い所に住んでいたり、定職についていなくて、連帯保証人になれない可能性だって、あるはずだ。
高齢期の問題というと、お金の問題だけをとにかく解決しようとする人は少なくないが、さまざまな場面をイメージして、「それぞれのシチュエーションでは、このように解決しよう」など、お金以外の問題解決策を考えておく必要があると思う。

余談であるが・・・
叔父の入院中の様子を力説する叔母の横で、入院中は止められていた(おそらく今も止められているであろう)お酒を、美味しそうに飲んでいる叔父の姿が、印象的だった。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

いつも興味深くこちらのブログを拝見しております。
そして時々ですが 著書も拝読しております。
今日は特に気になっていたことが書かれていたので
思わずコメントしてしまいました。
私もこの相談者の女性のように 将来的に入院や高額の手術となったら 誰に頼めばいいのか途方に暮れると思うのです。
(今はいいのですが 年取ったときに)
こういう保証人って やっぱり必要なものなんでしょうか?
医療費踏み倒しが増えているから・・だとすると 例えば通帳を見せるなりして 払えるだけの余力はある・・
というような誠意?みたいなものを見せられたら保証人とか立てなくてもいいと思うのですが・・。
実際 このような相談ってどなたにすればいいのでしょう?
ファイナンシャルプランナーのかたには お門違いって言われそうで あれなんですけど・・。
畠中さんなら理解してくださると思って。。

投稿: snowbell | 2010年1月 7日 (木) 22時28分

snowbell様
 コメントありがとうございます。このようなコメントをいただくと、とてもありがたいです。
 とはいえ、専門外の話なので、アドバイスとしてはあまりお役に立てないのですが、身元引受人は同居の家族がなるのが一般的で、連帯保証人は別居の家族や親戚のほか、知人などでもなれるケースが多いようです。
・・・で、個人的な話になりますが、私には子どものいない友人がたくさんいます。DINKSのケースもありますし、シングル、シングルアゲインのケースも少なくありません。
 自分たちが年を取って、友人たちが入院時に連帯保証人を求められて困っていたら、自主的に保証人になってあげようと考えています。借金の保証人は、頼まれてもなりませんが、入院などの突発的な出来事に限って、力になれればと。
 ただし、その際の条件として、「健康保険限度額適用認定証」(よろしければ検索してみてください。たくさんサイトに情報が出ていますので)を必ず申請してもらうこと。
入院時の保証金を病院にきちんと(多めに?)納めてもらうか、私に預けてもらうか、どちらかに同意してもらうこと。
この2点をお願いしようと思っています。お金のことでもめて、友人を失いたくないからです。なので、snowbellさんも私のように、友人たちと連帯保証人になるためのルールを作ってみるという考え方もあるかもしれません。
 身元引受人については、「友人・知人」の立場では手が出せませんが、病院に相談されるとソーシャルワーカーの方や社会福祉士の方などが相談にのってくれる可能性もありますし、司法書士の方々が力を入れている成年後見人の制度を利用する方法もあります。成年後見制度はお金がかかりますが。
 私たちが発足した「高齢期のお金を考える会」でも、顔なじみになられたご相談者が入院のことで困っていたら、連帯保証人になることも検討しようと考えています。面識のない方のご依頼には応えられませんが、絶対に困る人は増えるはずということを、今回コメントをいただき、より強く認識できました。
あまり役に立つ返信コメントになっていなくて、すみませんが、この程度の返信でお許しください。

投稿: 畠中 雅子 | 2010年1月 8日 (金) 01時20分

私はある政令指定市の生活保護の係長をしておりました。
生活保護を受けている方は、入院時の身元保証を頼める方がいないのが通例であり、このような医療機関に「役所が保証してほしい」という申し入れがあり、係長として、最終的にはけんか腰でいやな思いを数多くさせられております。
医療機関側のお立場もよくわかるのですが、現代社会において、「保証」を「人的」に求めることにはそもそも無理があるというのが、私の考えです。
医療機関側からすれば、「お金」の問題だけでなく、「モンスター患者」の問題も抱えていらっしゃるのが実情なので、誰かに保証を求めたくなる立場もよーくわかるだけに非常に解決困難な問題です。
日本人は、教育・医療といった事柄を金銭的な側面で図ろうとすると「情がない」「冷たい」といった論理的ではない批判をしますが、そういった社会感情が、医療業界や教育業界に携わるかたを萎縮させているのだと思われないでしょうか?

こういった問題をみるにつけ、世の中を渡るということはお金だけでは不足ということではないでしょうか?

投稿: たけ | 2010年1月 9日 (土) 09時16分

畠中さま

ご多忙のところ 詳細な返信いただけてうれしいです!
そうですね 私の友人にも同じような心配をしている人が多いのですよ
(今後もこういうタイプの人って増えると思う・・)
健康保険限度額適用認定証のことは初めて知りましたが ソーシャルワーカーさんや司法書士さんなどに相談 検討してみる価値は大いにありそうですね
私もお金のことで周りには迷惑かけたくはないし また そういうこともあって医療用の貯金に励んでらしゃるかたも多いと存じます。
参考になるご意見 どうもありがとうございました!

投稿: snowbell | 2010年1月10日 (日) 11時58分

たけ様
コメントをいただき、ありがとうございます。
仕事の関係で、生活保護課で働いている方々から、お話を伺う機会がときどきありますが、話をうかがっていると、「モンスター的な方」の話題になることもあります。日に日に、担当する人数が多くなるだけではなく、無理な要求も増えているということで、体調を崩されている方が少なくないという話もよく耳にしています。
たけさんがおっしゃるとおり、世の中を渡ろうとする際、お金だけで解決できることばかりではないと思います。ただ、お金で解決できること、そして解決できないことはどんなことがあって、それぞれどのような方法なら対応できそうかを、事前に考えることは大切だと思い、日ごろからない知恵を絞っているところでもあります。
また、「情がない」「冷たい」という社会感情により、合理的な選択ができなくなっていることも確かにあると思います。私の仕事でも、「貧乏人は無視するのか」といわれることもありますし、「モンスター的な相談者や受講者」の方がときどきおりまして、自分の対応力の低さを痛感することも少なくありません。
なんだか、まとまりのない返信コメントになってしまいましたが、ご容赦くださいませ。

投稿: 畠中 雅子 | 2010年1月11日 (月) 03時01分

日曜日にNHK総合で、地縁・血縁・社縁が絶たれたが故に、誰にも看取られず、誰にも遺骨を引き取られない人の死が増えているという特集をやっていました。

夫も居て、比較的友達づきあいもある私でさえ、身につまされました。

もしご覧になっていなければ、今日(正確には2/3)の午前0時45分から再放送があります。遅い時間ですがぜひご覧になっていただきたいです。(ネット上ではかなり反響を呼んでいました。)

今後、身よりもなく、近所や友人知人との付き合いもないまま死んでいく人が増えるのでしょうね...

兄弟や親戚が居ても、普段からの行き来がなければ、やはりお世話や遺骨の引き取りは出来ないだろうなとも思います。

番組では身寄りのない人のために身元保証や葬儀、死後の後始末を行うNPOが紹介されていましたが、家族が居ても居なくても、これからは各人が生前のうちからそういったことを手配する時代になるのでしょうね...

なんだか少し寂しいですが...

投稿: なかつか | 2010年2月 2日 (火) 22時27分

なかつか様
コメントをいただきまして、ありがとうございます。
実は私も、日曜日のNHKの番組は観ました。
私自身、子どものいない伯母のお墓を管理していまして、他人事ではありません。
伯母は突然死(結果的には病死でしたが)で、誰にも看取られずに他界しました。発見したのは、私と妹です。
伯母に一度も会ったことのない子どもたちに、伯母のお墓を、この先どのように継承していけば良いのか、悩んでいるところでもあります。
ホントに、他人事ではないと番組を観ていて、改めて感じました。

投稿: 畠中 雅子 | 2010年2月 2日 (火) 23時46分

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