« どらくのサイト記事、今週は「ひきこもりの生活設計」 | トップページ | 解約返戻金のない医療保険の注意点 »

子ども手当と増税の関係は、児童手当との比較も必要

子ども手当の満額支給は難しい、という雲行きがはっきりしてきた。
となると、子ども手当が1万3000円だという前提で、児童手当の時代とのソントクを比較してみたいと思う。

子ども手当が導入されて、15歳以下のお子さんに適用されている「一般扶養控除」が廃止されることが決まった。
実際の適用は所得税が平成23年1月からで、住民税は平成24年6月から。

平成22年は増税の影響は受けないが、平成24年6月以降、つまり所得税も住民税も増税になった場合の比較をしてみたい。
以下の税額は、拙著「お金のきほん」(オレンジページ社)の中から、引用している。

配偶者控除を受けていて、お子さんがいるご家庭の場合で比較してみるが、たとえば年収300万円のご家庭の場合、お子さんがひとりだと、一般扶養控除の廃止によって、年間で5万4500円の増税となる。
児童手当は2歳まで(実際には3歳の誕生月まで)1万円だったので、子ども手当との差額はひと月3000円。

子ども手当に変わったことで、年間3万6000円ほど手当は増えたが、所得税と住民税が5万4500円増えるので、子ども手当になったことで、差し引きで年間1万8500円の損が発生する計算だ。

ところが、お子さんが3歳以降になると、児童手当の場合はひと月5000円に下がるので、子ども手当との差額はひと月8000円と、金額の差が開く。
3歳以降になると、子ども手当のほうが年間で9万6000円ほど手当が増えているので、増税になっても、結果的には年間で4万1500円のトクになる。

ところが、年収が800万円になると、年齢にかかわらず、増税の影響のほうが大きくなってしまう。
年収800万円で、配偶者控除を受けているご家庭の場合、増税額はお子さんひとりで年間10万9000円。
3歳以降で、児童手当よりもこども手当のほうが年間で9万6000円増えたとしても、増税には勝てないことになる。

年収が900万円の人も、1000万円の人も、年間で10万9000円の増税になるので、年収800万円の人と同じように、子ども手当になったことで、損するケースである。

(追記:年収が800万円以上の方は、児童手当がもらえていなかった可能性もあるので、児童手当をもらえていなかった場合は子ども手当が年間15万6000円がもらえることによって、増税分よりも多く、トクができます。ブログをアップした後で、年収800万円以上だと、児童手当の所得制限に引っ掛かってしまうケースもあるということを、思い出しました。すでに読まれた方には、失礼しました)

また、意外に触れられていないのは(まだ実行されていないので、当たり前だが)、自営業の人などは、増税によって、国民健康保険料がアップするケースが出てくるはず。
税額に国民健康保険料の値上がり分を加えれば、子ども手当になったことで損するラインは、もっと下がるはずである。

国民健康保険料の値上がりについては、所得税をベースに計算する自治体と、住民税をベースに計算する自治体があるので、個別に計算してみないとわからないが、影響は小さくないと考えられる。

子ども手当が2万6000円の満額支給になっていれば、もっと増税の影響を吸収できたはずだが、現実には増税の影響は大きいようだ。

また気になるのは、平成23年度の税制改正で、検討される予定の配偶者控除の廃止問題。

もし、配偶者控除まで廃止ということになったら、「子ども手当になって得した」といえるご家庭は、相当限られるはず。
配偶者控除を受けているご家庭では、目先の手当は増えても、増税がそれを上回ってしまうケースがほとんどだと思われるからだ。

配偶者控除の廃止については、かなりの反対が予想されるので、先行きについては、まったくわからない(税理士さんに聞いても、口を揃えて「わからない」と言っているし)。
だけど、配偶者控除を受けている人たちが、思ったよりも騒いでいないように感じるのは・・・・私だけだろうか。

決まりかけてから騒いでも遅いと思うのだが。

|

« どらくのサイト記事、今週は「ひきこもりの生活設計」 | トップページ | 解約返戻金のない医療保険の注意点 »

FPの仕事から」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« どらくのサイト記事、今週は「ひきこもりの生活設計」 | トップページ | 解約返戻金のない医療保険の注意点 »