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ひきこもりと生活保護①

 

ひきこもりのお子さんがいるご家庭向けに、生活設計のアドバイスをはじめて、今年で30年目を迎えました。

 

当初の17~18年は、親の会などで生活設計の話をしていると「親が死んだ後の話なんて、縁起でもない話をするな」と怒られたり、同業のファイナンシャルプランナーからは「なんで、働かせるようなアドバイスをしないで、働かないでも生きていける方法を教えるんだ(# ゚Д゚)」という意見をいただく機会も少なくありませんでした。

話を聞いてもらうのも難しい、暗黒?の時代が長く続きましたね(´;ω;`)。

 

私がひとりで奮闘している様子を、精神科医の斎藤環先生が見つけてくださらなかったら、今でも、似たような状況が続いていたかもしれません。

そういう意味でも、斎藤先生には頭が上がりません(;^_^A

 

余談ですが、20年以上前に、私のアドバイスを聞いて、お怒りだったお母様から、数年前に「あのとき、あなたに怒りをぶつけてしまったけれど、自分も年を取ってきて、あなたが言っていたことが身に染みるようになってきたわ。自分の子どもが働けないもどかしさを、あなたにぶつけて悪かったと思っている」といった趣旨の言葉をいただいたこともあります。

親が現役時代だと、「親亡き後の生活設計の重要性」をいくら話されても、ピンとこないのは当然かもしれませんね。

 

 

さて、本日書きたいのは、親亡き後の生活設計について。

その中でも、生活保護の受給についてです。

 

私が活動を始めてから20年くらいは、生活保護の話をする機会はほとんどありませんでした。

ご相談にいらっしゃる方は、ある程度の資産をお持ちのご家庭が多く、親が持つ資産や家族の協力などで、私が提案しているサバイバルプランが成り立つご家庭がほとんどだったからです。

 

ところが!です。

時間が経つごとに、親の資産だけではサバイバルプランが成り立たないご家庭が増えています。

そのような状況を受けて、私自身もセミナーなどでも生活保護の概要を説明するようにしています(せざるを得なくなっています)。

 

 

もともと生活保護については、個人的にもそれなりに調べてきましたが、実は今年度から、某社協で「月に4時間」だけ、仕事をしています。

月に4時間だけですから、あまり役に立てていないような気はするものの、ファイナンシャルプランナーNさんからのご紹介で、働かせていただいている感じです。

 

今までは、外側から生活保護を調べてきたのですが、現在は「生活保護の受給以外に生きていく術がない」という方々にお会いする機会も少なくありません。

生活保護に関わる機会が増えつつある中で思うのは、生活保護についての正しい知識を持っている人はほとんどいない現実。

 

メディアでは「水際作戦」が話題になることもありますが、少なくとも、私が中から見ていて感じるのは、受給条件に合っている人の生活保護受給を断ったケースはないということ。

社協の人って、皆さん、仏様ではないかと思えるくらい、生活困窮者の方々に寄り添っています。

私が話を聞いていて、怒りを覚えてしまうようなご相談者(横柄な人も少なくないんです)に対しても、「全力で助けよう」という思いが伝わってくることもよくあります。

 

つまり、世間的には水際作戦で追い返すなどと言われていますが、受給条件に合わない状態で申請している方が少なくないような気もするのです(これはあくまでも、私の感想であって、実態を保証するものではありません。念のため)。

 

たとえば、「貯蓄が100万円あるけれど、これは最後の虎の子だから手を付けずにとっておいて、生活保護の申請をしたけれど、『そのお金が〇万円くらいに減ってから、再び申請にいらしてください』と言われた」と憤慨している人がいました。

これは社協での話ではなく、あるひきこもりのお子さんから聞いた話ですが。

100万円の貯蓄があるときには、そのお金を生活に充ててもらう必要がありますので、申請を認めてもらうのは難しいと思います。

 

逆に、「家があるから生活保護は受給できない」と思い込んでいる方は少なくありませんが、これは「いくらの家があるか」が問題になります。

たとえば東京23区では、〇〇〇〇万円(ちょっと怖くて、金額は書けません。皆さんが想像されているより高額だと思います)までの家は保有したまま、生活保護が受けられます。

生活保護の中の、住宅扶助(家賃分に相当)が受けられないだけで、他の条件をクリアしていれば、生活扶助や医療扶助などを受けることは可能なんです。

しかも生活保護がスタートすると、自宅の固定資産税は法定免除、つまり払わなくてよくなります。

これって、最初聞いたとき、「生活保護を受けたまま、自宅を相続させられるって、なんか、おかしくない?」と思いましたが、それも現実です。

 

すでにご紹介した通り、ひきこもりのお子さんがいるご家庭からのご相談で、親の持つ資産だけではサバイバルプランが成り立たないご家庭が増えているので、これからは生活保護の制度についても、正しい知識を持ってもらいたいと考えています。

 

そのために、セミナーでも生活保護の概要について説明をしているところですが、気になるのは「将来、子どもには生活保護を受けさせるつもりだから、サバイバルプランなんて聞いても仕方がない」とか、親の金融資産は5000万円くらいあるけれど、このお金が働かない子どもに使われるのは嫌だから、子どもだけ生活保護を受けられないか」という質問が増えていること。

 

5000万円も持っているのに、子どもへの生活援助をしないまま、生活保護を受給しようなんて言うのは、考えが甘いと思います。

いっぽうで本当に困窮している人が、生活保護の申請をするのは、当然のことだと思うものの、申請のタイミングが難しい現実を知ってもらいたいと思います。

ある程度まで申請が進んでいるのに、親や兄弟などに照会されるのが嫌で、途中であきらめてしまう人も見てきました。

 

本当に困窮しているご家庭には、私自身も申請の手伝いをするなど、フォローしていきたいと思うものの、うまく立ち回って子どもに生活保護の受給をさせようとする人には、厳しい態度で対応していきたいと考えているところです。

 

 

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